■指紋認証の歴史


 中国やインドでは古くから指紋を使って個人認証を実施していたことが知られており、また日本でも昔から拇印の習慣 が根付いておりました。
 指先の腹の部分にある渦状の紋様は世界中の人それぞれ異なることが知られるようになったのは1880年ヘンリー・ フォールズの学会発表がそのきっかけでした。しかし、それ以前にも1685年ネミヘア・グルーが皮膚紋理に関する 論文があり、1858年にウイリアム・ハーシェルが年金の支払いを適正化するために指紋を採取して本人認証への活用 が行われていたと伝えられています。その後、指紋画像の処理方法としては様々な分析方法が考案され、主として犯罪 捜査や司法分野に対して用いられてまいりました。日本においても20世紀に入ってから警察庁でその活用が試みられ 1971年には実際にコンピュータによる指紋鑑定を開始し、本格的な研究へと展開がはじまりました。
 それ以降、指紋認証技術は犯罪捜査の精度を高める必要性とともに研究が進み、技術革新が進んできた今日では、 低価格、小型化が可能となり、パーソナルユースに用いられるようになってまいりました。
 セキュリティシステムの求められる社会になってきている現在、さまざまなバイオメトリクス技術を駆使して本人 認証を試みていますが、このうち指紋認証は最も研究され、実用化が進んできた認証技術であることは万人の認める ところです。

■指紋の紋様の特徴

 人間の指紋の紋様については大別して三種類(下図:Loop , Whorl , Arch)に分けられます。

指紋の紋様の種類

 このうちある資料(4)によるとLoopの紋様が最も多く65%、次にWhorl 30%、その他がArch5%となって います。照合時の重ね合わせという技術の見地からは、この三種類のうちArchが比較的扱い難い紋様と言えます。 何故ならLoopやWhorlの場合、指紋の紋様の山(隆線:Ridge)の方向ベクトルが渦を中心にして大きく変化しますが、 Archの場合は指紋の渦が明確でないため隆線の方向ベクトルの変化があまり見られないため重ね合わせたときの特徴が 明確に捉えにくいためその照合は難しくなっています。


■紋様の特徴点(マニューシャ:Minutia)

 上記に述べたように人間の指紋には隆線とその間に形成された谷の紋様がその個人を特徴づけるものになるのですが、 精度良く判別しようとすれば、紋様の詳細を見なければなりません。また、その紋様とは隆線が示すパターンとも言えます。 その詳細を覗いてみるとあちらこちらで特徴点(マニューシャ:Minutia)なるものを発見することができます。その種類 としては端(Ridge ending)分岐(Ridge bifurcation)湧出(Ridge divergence)ドットor島(Dot or Island)囲み (Enclosure)等があります。