ICカードの基礎知識
ICカードとは?
キャッシュカードやクレジットカード等の磁気カードと同型で、IC(集積回路)を内蔵しているカードです。
ICカードの特長
磁気カードと比較すると、セキュリティ性の向上、記憶容量の増大、マルチアプリケーションへの対応などの特徴が挙げられます。
種類 | 磁気カード | ICカード |
外観 | ||
情報記憶部 | 磁気ストライプ | 内蔵された半導体メモリ |
情報記憶量 | 小 | 大 |
カード内での 情報処理 |
不可能 | CPU内蔵カードは可 |
セキュリティ性 | 比較的弱い | 強い(暗号処理、耐タンパ性あり) |
情報の 読み書き方法 |
磁気ストライプを端末の磁気ヘッドに 接触、スライドさせる |
接触:カード接点を端末のヘッドに接触 非接触:リーダ・ライターに近づけるのみ |
更に詳しい情報 | 磁気カードの特長 | ICカードの特長 ICカードの情報 |
ICカードの種類
ICカードには、半導体チップの中にメモリ(記憶用IC)だけを内蔵したものと、CPU(中央演算処理装置)とメモリの双方を内蔵したものの2種類があります。さらに、リーダライタ(カードのデータを読み取る装置)との通信や半導体チップを動かす電力を供給する手段によって、「接触型」と「非接触型」に分類されます。
また、非接触ICカードに外部端子が追加されたコンビ型とCPUを2つ持つハイブリッド型があります。
接触型と非接触形ICカードの比較
「接触型」は接点 (端子) 、「非接触型」はアンテナコイルを内蔵しています。「接触型」は表面に接点が露出しており、直接リーダライタと接触させなければなりませんが、「非接触型」は内蔵アンテナから発生させる電波で通信するため、接触による表面の摩耗や損傷を受けにくい構造になっています。
接触型
半導体チップ、接点端子、カード基材で構成される。
非接触型
半導体チップ、アンテナコイルカード基材で構成される。
各部位の機能と役割
主な構成 | 主な役割 |
CPU | 中央演算処理装置。 全ての処理を制御御するICチップの心臓部 |
コプロ (暗号コプロセッサ) |
RSAの演算を高速に実行するための専用 プロセッサ |
RAM | 一時的なデータを読み書きするための高速 メモリ |
ROM | プログラムを格納するために使用する読み出し専用のメモリ。ICチップ製造時に直接回路を焼き付ける |
EEPROM | 主にデータを格納するために使用する書き込み可能なメモリ |
インターフェース | ICカードと外部との通信制御を実施 (接触型:シリアルI/O、非接触型:非接触アナログ通信回路) |
接点端子 | 接触型において、リーダライタとのデータ交換と、半導体チップへの電力供給 |
アンテナコイル | 非接触型において、リーダライタとのデータ交換と、半導体チップへの電力供給 |
カード基盤 | PVC (ポリ塩化ビニル) 、ABS (アクリロニトル・ブタジエン・スチレン樹脂) 、PET (ポリエチレン・テレフタレート) などの素材を利用 |
接触・非接触ICカードの比較
項目 | 接触型 |
非接触型 |
通信距離 | 接触 (0mm) |
接触~1m以上 (カードの種類による) |
読み書きの し易さ |
比較的難しい (端子を機器のヘッドに確実にセットする必要有り) |
簡単 (カードに装置を近づけるだけで情報交換が可能) |
デザインの 自由度 |
接点があるため制約あり | 制約無し |
耐久性 |
比較的弱い (接点の摩擦・湿気による劣化、汚れで動作不良の可能性有り) |
強い (物理的接点がないため) |
接触・非接触ICカードの耐久性
項目 | 磁気カード |
ICカード |
|
接触式 |
非接触式 |
||
磁気 | × |
○ |
○ |
衝撃 | ○ |
△ |
△ |
曲げ | ○ |
△ |
△ |
磨耗 | △ |
△ |
○ |
汚れ・湿気 | △ |
× |
○ |
静電気 | ○ |
× |
○ |
非接触型ICカードの耐久性
非接触ICカードは電波の飛ぶ距離 (データ伝送距離) の長さによって、「密着型」「近接型」「近傍型」「遠隔型」に分類されます。「密着型」は接触型のようにリーダライタとICカードの接点を完全に接触させる必要はありませんが、リーダライタに軽く触れる感じで使用します。
逆に「遠隔型」は1Mぐらい離れても大丈夫ですが、その分電波の強度も強くする必要があるため、使用環境やデータ質量などの条件を考慮した上で、ICカードの選定が必要となります。
「近接型」非接触型ICカード
最近の非接触型ICカードの主流となっているのが「近接型」であり、通信方式によって国際規格に制定されている「Type A」「Type B」と国際規格作業において追補にすべく検討中の「Type C」(仮称)の3つに分類されます。